ものすごい高機能だけどフリーの3DCGソフト Blender。
だれでも無料で使える反面、明確な動作推奨スペックは特に無い。そのため、いまいち推奨マシンが解らない。
Ver 2.93LTSが出た記念として、どれだけやったら落ちるのか。低スペックPCで限界を探ってみた。
型落ちマシンを用意
RTX3090などの最新グラボ購入層には、こんな話はどうでも良いはずだ。従って非力な型落ちマシンを使って検証する。
・・・といっても、ビジネス専用事務機では明らかに厳しい(グラボは必須)。
一応、公式には以下のような動作要件の記述がある。
- Windows 8.1 and 10
- 64-bit dual core 2Ghz CPU with SSE2 support
- 4 GB RAM
- Graphics card with 1 GB RAM, OpenGL 3.3
- Less than 10 year old
Less than 10 year old 10年以内のPCなら動くんちゃうの? 的なアバウトさ。特に具体的型番の言及は無い(キリ無いので、しかたないとは思うが)。
ということで・・・2010年(約10年前)なら最強スペックだったろうな相当のマシンを用意(なお、サブ現役)。
動作検証の環境
- CPU
Intel core i7 3770(Ivy Bridge) - メモリ
DDR3-1600 32GB - OS
windows 10 - ストレージ
Intel SSD(SATA) - グラボ
GeForce GTX 750 Ti(GDDR5 2GB) - Blender
Ver2.93.1 日本語
2021年現在、Ivy Bridgeはもう厳しい。 Ryzen 5 4600Gの格安BTOマシンの方が速いかもしれない(ただしレンダーは専用メモリGDDR5搭載の方が圧倒的に有利なはず)。
使用オブジェクト
床に板を敷き、その上にモンキー(スザンヌ)を載せたものを用意。
マシンスペックが許す限り増やす。
10000スザンヌ
新規インストールしたBlenderに以下の操作でオブジェクトを追加。レンダーのサンプリング数はEEVEEの8に設定、他は基本オフ(落ちてるのか、処理中か解らなくなるため)。
- 追加>メッシュ>モンキー
- 編集モード>追加>メッシュ>平面>4mに拡大
- モンキー部分を選択>平面の上へ移動(顎と平面を少し離す)
- オブジェクトモード>オブジェクト>スムーズシェード
このスザンヌを配列モディファイヤでX軸、Y 軸方向に配列複製。
- モディファイヤプロパティ>モディファイヤ追加>配列
- オフセット>Xを1.000
- もう一つモディファイヤを追加>配列
- オフセット>Yを1.000
背景(環境光)にはforest.exrをノード接続しておいた(参考 Blender2.92 初回起動時に設定しておきたい項目)。
100スザンヌ
参考までに100個時の状態は以下の通り。
- 頂点
51100 - 面
50100 - 三角面
97000 - メモリ
25.7MiB - VRAM
0.5/2.0GiB
全く問題なし。ヌルサク。
10000スザンヌ
一気にX100のY100に増量。頂点等は比例して増えるため省略(100倍)。
- メモリ
799MiB - VRAM
0.9/2.0GiB
一瞬固まるものの、まだいける。
20000スザンヌ
X軸を200にした。可視領域を超えてしまったので、
ビュー>範囲の終了>10000m
に変更。
- メモリ
1.54GiB - VRAM
1.3/2.0GiB
数値入れた瞬間、2秒くらい固まるものの制御は戻ってくる。視点移動時のフレームレートも落ちるが、まだギリギリ作業は可能か。
40000スザンヌ
Y軸も200に。
- メモリ
3.07GiB - VRAM
1.82/2.0GiB
5秒ほど固まる・・・が何とか戻ってきてくれた。視点移動時のフレームレートは10FPSくらい。かなり厳しい。限界の予感。
60000スザンヌ
X軸を300に。
- メモリ
4.59GiB - VRAM
1.92/2.0GiB
VRAMがオーバーフローした模様(スワップに退避?)。視点移動時のフレームレートは数FPS。限界突破感あり。
これ以上は無理だ。間違いなく落ちる(一応、90000スザンヌまでは、辛うじて制御が戻ってきたと報告しておく、とても操作できる状態ではないが)。
まとめ 20000スザンヌ(頂点1000万)で限界
マテリアル無しの数値。
なお、40000スザンヌのレンダリングは不可能(落ちる)。おそらくだが、「表示用VRAM消費量+レンダー用VRAM」が搭載容量を超えた瞬間、落ちるのではないか(あくまで、当該環境かつEEVEEのとき)。
20000スザンヌ時では既に半分以上消費されているため、実用上許容できるのは10000スザンヌの、「頂点500万以下」程度だと思われる。
要するに、グラボのVRAM搭載量が重要。